テーブルの前に2人で並んで座った。
目の前には黒い塊……。
【主人公】「あの……颯斗君、本当に無理しなくていいんだよ?」
【颯斗】「無理なんてしていませんよ。さあ、食べましょう」
【主人公】「あ、その前にろうそくを……」
私は、ケーキの上にろうそくを並べて火を付けた。
【颯斗】「これ……」
やっぱり恥ずかしいのか頬を赤らめる颯斗君。
その仕草が可愛い。
【主人公】「うん! 出来れば、ふぅーってしてほしいな」
【颯斗】「は、はい」
ぎこちない颯斗君。
【主人公】「やっぱり、イヤかな?」
【颯斗】「そんなことはありませんよ。ただ、慣れていないもので、なんだか照れくさくて……。でも……」
【主人公】「ん?」
【颯斗】「すごく嬉しいんです。ずっと憧れていたから……。ふぅーってしますね?」
【主人公】「うん。電気消すね」
電気を消すと、目の前にろうそくの火がゆらゆらと揺らめき、ほんのりと私達を照らした。
【主人公】「颯斗君、お願いします」
【颯斗】「はい、それでは……。ふぅー」
ゆっくり吹きかけられた颯斗君の吐息でろうそくの火が消えた。
あたりが一瞬、ふっと暗くなる。
【主人公】「颯斗君、改めまして誕生日おめでとう!」
【颯斗】「ありがとうございます」
その言葉が途切れ、唇に優しいぬくもりが触れる。
【主人公】「は、颯斗君!?」
【颯斗】「嬉しかったから……キス、してしまいました」
【主人公】「も、もう……。 電気つけるね」
ごまかすように私は立ち上がると電気をつけた。